AIエージェントで実際にできること ― 間接部門の業務別に整理する
「AIエージェントが便利なのは分かったが、うちの業務で何ができるのか」——検討の最初につまずくのはたいていここです。
この記事では、間接部門の業務別に、今の技術で実際にできることを整理します。AIエージェントとは何かを先に読んでいただくと分かりやすいはずです。
前提:得意なのは「手順は言えるが、書式が揺れる」業務
先に判断基準を書いておきます。AIエージェントが効くのは、次の条件が揃った業務です。
- 手順を人に説明できる
- でも書式・様式が揃っていないので、これまで機械化できなかった
- ある程度の量がある(週に数時間以上かかっている)
逆に、手順が説明できない業務は自動化できません。 これはAIの性能とは関係なく、そもそも何をすればいいか定義できないためです。
業務別にできること
経理・財務
| やりたいこと | 現状 |
|---|---|
| 請求書と納品書の突合 | できる。金額・数量の差分を出し、合わないものだけ人へ回す |
| 複数PDFの一覧化・合計 | できる。フォーマットが違っても吸収できる |
| 二重計上・消費税誤りの検知 | できる。ルールを決めておけば自動で拾う |
| 仕訳の最終確定 | 人が確認。提案までは出せるが、確定は人が行う想定 |
生産管理
| やりたいこと | 現状 |
|---|---|
| 手書き生産日報のデータ化 | できる。ただし精度は帳票の状態で変わる |
| ライン別・工程別の自動集計 | できる。既存の集計表の形のまま出せる |
| 基準を外れた日の通知 | できる。しきい値を決めておく |
| 不良原因の特定 | 難しい。データは揃えられるが、原因の判断は人の領域 |
詳しくは生産日報の電子化にまとめています。
営業事務・受発注
| やりたいこと | 現状 |
|---|---|
| FAX注文書のデータ化 | できる。手書き・かすれにはばらつきあり |
| 重複発注・与信超過のチェック | できる |
| 納期回答の下書き作成 | できる。送信前に人が確認する運用が前提 |
| 価格交渉の判断 | やらせない。責任の所在が曖昧になる |
総務・人事
| やりたいこと | 現状 |
|---|---|
| 名刺のデータ化 | できる |
| 社内規程の検索・要約 | できる。ただし根拠箇所を必ず示す設計にすること |
| 各種申請書の仕分け | できる |
| 評価・採用の判断 | やらせない |
まだ難しいこと
正直にお伝えしておきたい部分です。
極端に崩れた手書きは、人が読んでも判別に迷うレベルのものは同様に読めません。この場合、読めなかったことを検知して人に回す設計が重要になります。読めないこと自体より、読めていないのに読めたことにするほうが危険です。
前例のない判断も苦手です。過去の似た事例から提案を出すことはできますが、判断そのものは人が行う前提で設計すべきです。
目的が曖昧な業務は自動化できません。「なんとなく毎月やっている」業務は、まず何のためにやっているかを整理するところからになります。
始めやすい業務の見つけ方
社内で候補を探すときは、次の順で絞ると外しにくいです。
-
転記が発生している業務を書き出す あるシステムから別のシステム(Excel含む)へ、人が手で写している作業。ここが最大の候補です。
-
そのうち、週2時間以上かかっているものを残す 量が少ないと投資が回収できません。
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そのうち、間違いに気づける仕組みがあるものを選ぶ 後工程でチェックが入る業務は安全に始められます。
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その中で、扱うデータが社外に出せるものから始める 社外に出せないデータを扱う業務は、閉じた環境での構成が必要になり、検討事項が増えます。まず出せる業務で効果を確かめてから広げるほうが早いことが多いです。
まとめ
- できるのは転記・突合・仕分け・定期レポート。共通するのは「手順は言えるが書式が揺れる」業務
- 判断の責任が重い業務はやらせない設計にする
- 難しいのは、極端に崩れた手書き・前例のない判断・目的が曖昧な業務
- 探すときは「転記」→「週2時間以上」→「間違いに気づける」→「データを外に出せる」の順に絞る
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よくある質問
手書きの帳票でも読み取れますか?
多くは読み取れますが、精度は帳票の状態で変わります。重要なのは、読めなかったことを検知して人に回す仕組みがあるかどうかです。読めていないのに読めたことにするほうが、読めないこと自体より危険です。
既存の集計フォーマットを変える必要はありますか?
ありません。現場の記入様式も、出力する集計表の様式も、そのままにしたまま間の処理を自動化するのが基本的な進め方です。システムに合わせて現場を変えるやり方は、製造現場ではほとんど定着しません。
自社のどの業務から始めるべきか、どう選べばよいですか?
「転記が発生している」「週2時間以上かかっている」「間違いに後工程で気づける」「扱うデータを社外に出せる」の順に絞ると外しにくくなります。最後の条件が満たせない業務は、閉じた環境での構成が必要になり検討事項が増えるため、後回しにするほうが早く効果を確認できます。
AIに任せてはいけない業務はありますか?
あります。与信・採用・懲戒のように最終判断の責任を人が負うべき業務、安全確認や法定検査のように間違いが即座に事故になる業務は任せません。提案までは出せますが、決定は人が行う設計にすべきです。