アナログメーターの点検記録をスマホで ― 目視転記を残さない
設備の巡回点検で、メーターの針を目で読み、点検表に数字を書き写す作業が、まだ残っていませんか。
結論から言うと、アナログメーターの点検記録は、メーターを交換せずに電子化できます。 順番は3つです。第一に、対象のメーターが読み取りに適した条件かどうかを個体ごとに確認する。第二に、点検周期・点検表のフォーマットに読み取り結果を紐づける。第三に、精度が出にくい個体だけ人の確認を残す。
バーコードに載っていない情報の転記についてはバーコードに載っていない情報をどう記録するかで入庫検品を対象に整理しました。この記事はその工程とは対象も業務の場面も異なる、設備点検におけるアナログメーターの指示値に絞って書きます。
設備点検の、どこに目視転記が残っていますか?
巡回点検の多くは、コードの読み取りが使えません。温度計・圧力計・流量計・電流計といった針式・ダイヤル式のメーターには、そもそもバーコードもQRコードも付いていないからです。
担当者がやっているのは次の作業です。
工程2と工程3は同じ場面で起きています。針を読んだ瞬間の数値を、そのまま正しく書けているかが問われる工程で、ここに人の読み間違い・書き間違いが混入します。工程4が別に存在する現場では、転記の回数はさらに増えます。
アナログメーターの読み取りが、バーコードより難しいのはなぜですか?
バーコードは「読めるか読めないか」の二値に近く、読めれば結果は一意に決まります。アナログメーターの指示値は、そうではありません。
針が目盛りの間を指す
目盛りの間隔より細かい値は、間の位置を見て判断する必要があります。同じ針の位置でも、読む人によって解釈がわずかに変わります。
設置角度と正面性
メーターを正面から見ないと、針の位置が実際とずれて見えます(視差)。設置場所によっては正面に立てないメーターもあります。
ガラス面の反射・照明条件
メーターの表示面はガラスや透明カバーで覆われていることが多く、照明の映り込みや逆光で目盛りそのものが見えにくくなる個体があります。
この3つは、メーターの機種・設置環境ごとに条件が異なります。「メーターが読み取れるかどうか」は一律の答えを持たず、個体ごとに確認するしかありません。 ここを一括で保証できると謳う話は、実際には個々の設置条件を見ていないことが多く、導入時に必ず確認すべき点です。
読み取りを電子化する場合も同じ制約が残ります。正面から撮影できない、反射が強い、目盛りが摩耗して薄いといった個体は、電子化後も読み取り精度が上がりにくく、人の確認を残す判断になります。
点検周期や点検表のフォーマットに、読み取り結果をどう紐づけますか?
読み取った数値は、単体では点検記録になりません。「いつ」「どの設備の」「どの項目の」値かが点検表の形式と揃っていないと、記録として使えません。
多くの現場では、点検表は周期ごとに分かれています。
| 周期 | 対象設備の例 | 記録の粒度 |
|---|---|---|
| 日次 | 稼働中の主要設備の圧力・温度 | 設備1台あたり数項目 |
| 週次 | 補助設備・予備系統 | 設備1台あたり1〜2項目 |
| 月次 | 法定点検・保守契約対象 | 点検表全体を提出する形式 |
読み取り側で対応するのは、この周期ごとの対象リストと項目名を、あらかじめ点検項目のマスタとして持っておくことです。巡回時にどの設備を読み取ったかが分かれば、読み取った数値をその周期の点検表の該当欄にそのまま当てはめられます。
これまで
- 点検表の欄を見ながら、メーターの前で手書きする
- 紙の点検表を事務所へ回し、管理表へ打ち直す
- 周期が違う点検表が別々の紙で管理されている
見直し後
- メーターをカメラで読み取り、点検項目マスタと突き合わせる
- 周期別の点検表フォーマットに沿ってCSVで出す
- 読み取った画像と数値がその場で端末内に残る
ここで決めておくべきは、点検表のフォーマットを先に電子化に合わせて変えるのではなく、いまの点検表の項目構成を読み取り側のマスタに反映させる順番です。点検表の形式は法定点検や取引先の要求で決まっていることが多く、自社の都合だけでは変えられません。
イチヨミOCRは、メーターの読み取りに何を担いますか?
当社のイチヨミOCRは、印字された文字・バーコード・QRコードに加えて、アナログメーターの読み取りを対象機能として持っています。 スマホやタブレットのカメラでメーターを撮影すると、針の位置や目盛りから指示値を抽出し、点検項目のマスタと照合します。
担う範囲を整理すると次のようになります。
| 工程 | 何が変わるか |
|---|---|
| メーターの指示値を読む | 撮影した画像から数値を抽出する(工程2の代替) |
| 点検表への記入 | 抽出した数値を点検項目マスタと照合し、周期別フォーマットに当てはめる(工程3の代替) |
| 事務所での打ち直し | 端末からCSVで出力し、既存の保全システムへ渡す(工程4の代替) |
| 記録の保管 | 撮影画像・読み取り結果・修正履歴を端末内に残す |
条件も同じ場所に書きます。AI処理は端末の中で行うため、読み取りの速さや安定性は使う機種の性能に左右されます。 どの機種でも同じように動くわけではないので、実際に使う端末とメーターで事前に確かめてから決めます。また、前章で述べたとおり、正面から撮影できない・反射が強い・目盛りが摩耗しているといった個体は、読み取り精度が上がりにくく、そうした個体は人の目視を残す前提で運用します。すべてのメーターを一度に置き換える設計にはしません。
通信のない設備室でも処理が端末内で完結するため読み取れます。生成AIを使う経路では、撮影したメーターの画像そのものを外部のクラウドサービスへ送ることになるため、社外にデータを出せるかどうかで判断が分かれます。この考え方はクラウドに出せないデータをどう扱うかに整理しています。
どこから始められますか?
すべての設備・すべてのメーターを一度に対象にする必要はありません。まずは次のどちらかから始めるのが現実的です。
- 点検頻度が高い設備(日次点検の対象)から、読み取り精度を確認する
- 点検表への記入で最も時間がかかっている周期(法定点検など提出量が多いもの)から、フォーマットへの紐づけを確認する
いずれの場合も、対象のメーターを数台撮影してみれば、読み取りに適した条件かどうかは1回の打ち合わせで判断できます。
まとめ
- 巡回点検の転記は、針を読む工程(工程2)と点検表に書く工程(工程3)で同時に起きている。コードが使えない指示値だからこそ、この2工程がそのまま残る
- アナログメーターの読み取り精度は、目盛りの間隔・設置角度・ガラス面の反射という個体ごとの条件で決まる。一律の答えは無く、導入前に個体ごとに確認する
- 読み取った数値は、周期ごとの点検表フォーマットと点検項目マスタに紐づけて初めて記録として使える
- イチヨミOCRはアナログメーターの読み取りを対象機能として持つが、すべての個体を同じ精度で読める前提ではない。反射や摩耗のある個体は人の確認を残す
- 対象は法定点検を含む全設備を一度にではなく、点検頻度の高い設備か記入量の多い周期から始められる
自社のメーターがどこまで読み取りに適しているかは、実際の写真を数枚拝見すれば1回の打ち合わせで判断できます。30分の無料相談で、対象の設備からご一緒に確認します。
よくある質問
いまの点検表(紙・Excel)は残したまま導入できますか。
残したまま始められます。点検表の項目や周期は設備ごとに現場で決めているものなので、フォーマットを先に統一する必要はありません。まず指示値の読み取りだけを電子化し、既存の点検表の欄に対応する形でCSVを出す運用から入れます。
針が目盛りの間を指しているとき、どこまで正確に読み取れますか。
目盛りの間隔や表示範囲によって変わるため、この記事では一律の精度は約束しません。実際に使っているメーターの写真を数枚拝見すれば、読み取れる範囲かどうかをその場でお伝えできます。導入前に自社のメーターで検証してから判断してください。
メーターの設置位置が高い・反射で見えにくい場合はどうなりますか。
設置角度や照明条件は読み取り精度に直接影響します。ガラス面の反射や逆光が強い個体は、撮影する位置や時間帯を変えるだけで改善することもあれば、そのメーター自体が読み取りに適さないこともあります。導入前に厳しい条件のメーターを含めて確認するのが実務的な進め方です。
点検周期が設備ごとに違います。日次・週次・月次が混在しても運用できますか。
運用できます。周期を決めているのは読み取りの仕組みではなく点検表の側なので、周期ごとに点検対象のリストを分けておけば、それぞれの巡回タイミングで該当する設備だけを読み取る形になります。周期の設計自体を変える必要はありません。
バーコードに載っていない情報を読み取る話は、別の記事でも見た気がします。何が違いますか。
「バーコードに載っていない情報をどう記録するか」は入庫検品でロット番号や賞味期限を転記する話で、対象はラベルの印字です。この記事は設備点検の話で、対象はそもそもコードが存在しないアナログメーターの指示値です。読み取る対象と業務の場面が異なります。
費用はどのくらいかかりますか。
対象のメーターの種類・台数・設置環境によって変わるため、この記事では金額を出しません。実際のメーターを拝見したうえで、30分の無料相談で目安をお伝えします。